学習内容 7月期 LAMJ-B
パパッと考えるvsじっくり考えるトレーニング:LAMJ-Bの生徒たちの中にはパパッと考えて答えを出すことが得意な人もいれば、じっくり考えることが得意な人もいます。それぞれの得意なことはさらに伸ばしながら、そこまで得意じゃないかもしれない「じっくり(あるいはパパッと)考える」を得意にするためのトレーニングを始めました。このトレーニングはノーベル賞学者の故ダニエル・カーネマンの理論とハーバード大の「考える力教育プロジェクト」を応用したものです。「じっくり」には色々な種類があります。たとえば理由をたくさん考える、理由を深掘りする、他の立場で考えるなど。今月は「理由をたくさん考える」に重点を置きました。
記事を読んで、ビフォー&アフター:テキストとしている朝日中高生新聞から子どもの権利の記事を取り上げ、①子どもの権利と聞いてまず何を思った?→②記事をじっくり読む→③読んでみて、子どもの権利に対する考えは変わった?という流れで考えてもらいました。新しい情報・学びを得て自分はどう成長したのか、振り返りを習慣化していきます。
パレスチナとイスラエルのことを小学生目線で考える:朝日中高生新聞にパレスチナとイスラエルの特集が載っていたことから調べ学習をし、記事を読んだ上で「この記事のキーワードを1つだけ選ぶとしたら?」と問いかけました。生徒たちが選んだのは「アイデンティティー」と「資格」。なぜそのキーワードを選んだのか、理由は「記事を読んだときに一番苦戦した言葉だったから」「理由が思いつきやすそうな言葉だったから」など。大人目線で考えると「パレスチナとイスラエルからかけ離れているじゃないか」というお声も聞こえてきそうです。でも、自分目線で考える、小学生目線で考えるとはまずこういうことだと思います。誰かの受け売りでも聞こえの良さそうな理由でもなく、自分の中から正直に生まれてくる言葉たち。その言葉たちにちゃんと耳を傾けることから全ては始まります。
学習内容 7月期 LAMJ-A
ローザ・パークス、1955年のアメリカ、現代の日本:テキストとしている朝日中高生新聞にレイシャル・プロファイリングの記事が載っていたことから、今月は黒人の権利活動家のローザ・パークスと、米・アラバマ州でかつて起きたモンゴメリー・バス・ボイコット事件を取り上げました。70年近く前にそんなひどいことがあったのか…と向こう岸の火事を眺める。なんてことはLAMJではやりません。人種差別が濃厚だった1955年のアメリカと2024年の日本との共通項は何か、小6〜高3の生徒たちがディスカッションしました。
モンゴメリー・バス・ボイコット事件を、淡い恋心のおばあちゃんに伝える: 若い頃、日本に少しだけ住んでいたアラバマ出身の白人男性「ボブ」のことを密かに思慕していた、現在90歳の日本のおばあちゃん(仮の設定です)。そんなおばあちゃんにモンゴメリー・バス・ボイコット事件について伝えるとしたら…? という宿題への皆の答え方がすごかったです。「おばあちゃんがボブを素敵だと思うのは否定しないんだけど、モンゴメリー・バス・ボイコット事件っていう事件が昔あって、それを知ってほしいから…」と語り出す生徒、「おばあちゃんあのね、おばあちゃんは嬉しくないかもしれないけどね」で始める生徒、白人との思い出があるなら黒人vs白人ということを言わなくてもいい、知らせなくていいと思った、という生徒、ボブと「白人」全体をなるべく離すようにしたと話す生徒…相手のことをしっかり考えて尊重して伝える姿に涙が出ました。伝える力がますます伸びています。
文学賞受賞の小説の「読ませる」秘密を解き明かして応用:今月後半のLA(Language Arts—分析と議論を重ねることで辿り着ける言葉の技術のこと)では中島京子作『妻が椎茸だったころ』(泉鏡花文学賞)の前半を精読、分析しました。冒頭の1段落が「読ませる」のはなぜか、話し合ってもらったところ、「1文目—比較的短い文による事実、2文目—比較的長い文による記憶、3文目—比較的短い文による事実、4文目—比較的長い文による記憶」というサイクルになっているのでは、という意見が...素晴らしい着眼点と分析力です。このサイクルを使って自分たちの文章を書き換えてもらったところ、リズムとメリハリのある、なんともユニークな文章が誕生しました。自分の視点を信じて分析・意見できる力に圧倒されます。皆どんどん力を伸ばしますし、話し合うことで何かを創り出す喜びを感じてくれているのだと思います。
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