2025年5月24日土曜日

LAMJコース5月の学習内容(2025年)

LAMJ-Prep


意見を言うこと、理由を意識すること、発表することにみんなどんどん慣れていく!と感動した1ヶ月でした。「このお菓子はどれだけの旅をして自分の家にやってきたのか」について皆で考えたり、「これからの時期、もしも台風が来たらこのクラス(対面実施)はどうする?」とリアルに話し合いもしました。意見に正解も不正解もないことを肌で感じてくれている様子が頼もしい!事実を確認してから意見を言うことの大切さをじわじわと感じ取っていってほしいです。


LAMJ-B

自分にしかできない質問をする:先月から始めた「アクティブ・リスニング+質問」のセッションにもあっという間に慣れた生徒たち。相手の発言を認めながら質問する姿は本当にかっこいいです。じゃあもっとハードルを上げよう、ということで「自分にしかできない質問をする」ことを始めました。質問は、先生にしなさいと言われたからするものじゃない。質問は意見と同じで、自分だから考えられること、聞きたいと思うことを必死に探すんだよ、なぜその質問をしたいのか理由も考えてね、と話したところ質問セッションが明らかに上の次元へと上がりました。皆のおもしろい質問を一部ご紹介しますね。「あなたが倭寇だったら何を盗みたいですか(なぜこの質問をしたいかというと、私が海賊だったら色んなものを盗みたいと思うので)」「自分の学校の良いところを言える限り教えてもらえますか(なぜこの質問をしたいかというと、自分の学校についても考えてみたくなったし、相手の学校がどれくらい良いところなのか知りたかったから)」。ブラボー!

 

プレゼンテーションの基本を徹底的にモノにする:プレゼンの基本、それは「何を伝えたいか」「相手は誰か」「相手にどうなってほしいか」を言語化すること。クラスではまず、なぜ「基本」なのかを考えてもらった上で、この基本が皆の「当たり前」となるよう、実践方式でトレーニングを重ねています。来月は、この基本を踏まえた上で、どうコンテンツを磨くか、にフォーカスを当てて実際にプレゼンをしてもらう予定です。テーマはもちろん、各自じっくり選んで決めてもらいます。

 

今月扱ったテーマ:偉人の言葉の背景・根拠を考える(川端康成、ニール・アームストロング、大久保利通、手塚治虫)、マグリットの絵のタイトルの法則を見抜き、実際にタイトルをつけてみる(構造を見抜く力、クリエイティブ思考)、プレゼンの基礎のカラクリを理解する(プレゼン力)、新聞記事を1つ選んでプレゼンするとしたら(目的と聴衆を意識・言語化する)、自分にしかできない質問をする(質問力)


LAMJ-A

報道写真家・石川文洋さんのベトナム戦争の写真は事実か、意見か:テキストとしている朝日中高生新聞にベトナム戦争の特集があり、報道写真家・石川文洋さんのインタビュー記事が載っていました。クラスでは石川さんのベトナム戦争の写真を数枚取り上げ、この写真を「事実」と言えるとしたら証拠は何か、「意見」と言えるとしたらそれはなぜか、をディスカッション。さらに、この議論は世界の出来事にどうつながるのかを考えてもらいました。弁証法的思考をトレーニングしつつ、観察眼を磨いています。
 
「投票に行かない人は選挙権を譲るべきか」を哲学のフレームワークで話し合うLAMJ-Aではほぼ毎回、朝日中高生新聞の記事を起点として議論を行うのですが、今月は新しい試みとして哲学のフレームワークに則って議論するということをやりました。哲学では「言葉の定義」は非常に大事ですが、皆の「投票に行かない人」「選挙権」「譲る」の定義をめぐる議論の素晴らしさといったら!言葉の定義や背景だけでなく、「こう定義するとこんなことが想定できるけど、それでいいのかな」というところまで議論は及び、「議題は『譲るべき』ではなく『譲ってもいい』とした方がいいのでは」「日本を変えるということはとても大変なものなんだなと思った」などの感想も聞くことができました。二週にわたって話し合ってとりあえずの答えを出したところで、議論をさらにレベル上げするために「新たに問いを立てる」ことも行った生徒たち。もはや議論の達人です。

 

今月扱ったテーマ:報道写真家・石川文洋さんのベトナム戦争の写真は事実か、意見か(クリティカル・シンキング、歴史・世界・報道写真について考える)、「投票に行かない人は選挙権を譲るべきか」を哲学のフレームワークで話し合う(議論力、言葉を定義する力、論理力)、クラスメートの意見に対して「悪魔の代弁者」を演じる(思考力、伝える力)、自分の意見に反論+気づきを得る(クリティカル・シンキング)、山内マリコ『ああ幻の東京五輪 世田谷区』の一節を自分流に書き換える(ランゲージ・アーツ)、自分の住む自治体に「キャラ」を与えて宣伝文を作る(ランゲージ・アーツ、プレゼンテーション)

2025年5月3日土曜日

LAMJコース4月の学習内容(2025年)

LAMJ-Prep

考えること、伝えることをとことん楽しんで力をつける「LAMJ- Prepコミュニケーション能力プログラム」も早いもので6回が過ぎました。今月は、Show & Tell (見せてお話し) のプレゼンテーションや、目の前にある文章を「事実」と「意見」に分けることをやりました。プレゼンテーションは伝えることの基本を学べる大事な機会、そして事実と意見の線引きは考える力の基本。クラスメートの意見をちゃんと聴くことを通してアクティブ・リスニングも鍛えています。みんないつも一生懸命!楽しい1ヶ月でした。


LAMJ-B

事実と意見、マグリットの絵LAMJコースではおなじみの「情報を事実と意見に分ける」、今年度はさらにパワーアップしました。生徒たちが宿題の答えとして書いてきたものを「これは事実?意見?」と考えたり、ルネ・マグリットによる、いかにもシュルレアリスムなおもしろい絵をじーっと見て、自分の頭に浮かんだことを事実と意見に分けることもやりました。事実と意見に分けるのは「考える」の基本です。これからも色々なやり方で力をつけていきます。

 

アクティブ・リスニング+質問力を磨く:昨年度からぐっと人数が増えたLAMJ-Bのクラス。1人ひとりがより多く発言できるように、他者の意見を尊重して議論する力をつけられるように「アクティブ・リスニング+質問」のルーティーンを始めました。1人の生徒の意見を皆でしっかり聴いてしっかり考え、皆で質問する。それぞれ質問には個性が溢れていて楽しいです。「相手のことを理解したい、だから責任をもって考えるし心を込めて質問する」という態度を毎回磨くことでコミュニケーション力を育んでいきます。

 

今月扱ったテーマ:偉人の言葉の背景・根拠を考える(坂口安吾、藤田哲也、ヘミングウェイ、リンカーン)、事実と意見(クリティカル・シンキング、メディア・リテラシー)、世界一短い小説の詳細を考える(クリエイティブ思考、論理力)、リンカーンの妻・メアリーのセリフを考える(情報をつなげる力、一貫性、クリエイティブ思考)、今年・今月の目標を根拠とともに立て、振り返る(計画思考、メタ認知)


LAMJ-A

内集団と外集団、ステレオタイプ:テキストとしている朝日中高生新聞に載っていたまど・みちおさんの「うつくしい ことば」という詩の解読に端を発し、内集団と外集団(仲間内の人間は個性豊かだけれど、自分の仲間外の人は似たり寄ったり、と思うこと)、そしてステレオタイプについてディスカッションしました。その上で、具体的な「ステレオタイプ撃退法」を考えてもらったところ、実に美しい意見たちが出たので一部ご紹介。「その人が棒人間だと考える」「みんなを料理だと思ってみる。そうすれば、料理にはおいしいものもまずいものもあるから『この人はこうだ』みたいに考えることも減ると思った」「どうしたのだろう?とシンプルに考える」など。「あの人はなぜああいう考えを持つのか」という健全な好奇心でを持ち続けてくださいね。

 

主体的に調べた情報を徹底して「事実」と「意見」に分ける:これまで生徒たちは主に、講師が用意したクイズや新聞記事など、「受動的に」渡された情報を事実か意見か見分ける、ということをやってきました。LAMJ-Aの今年の目標の一つは「考えて伝えるために1人ひとりが主体的に動く」。気になるニュースにつき各自が調べてきた情報を1つひとつ「事実」「意見」のふるいにかけました。どんな情報を前にしても「これって事実?意見?」と反射的に考えられる回路を育てます。

 

今月扱ったテーマ:内集団・外集団、ステレオタイプ (思考の穴に気づく)、気になった事件について調べたことを事実・意見に分ける(クリティカル・シンキング、メディア・リテラシー)、自分の意見に反論する(思考力、つなげる力)、小川糸『バーバのかき氷』の「醸す」と「腐る」に見る、似て非なるものの力(LA)、数学と考えることの共通点(学習意欲、構造を見抜く力)、「短所」を長所にひっくり返してプレゼン(思考力、メタ認知力、プレゼン力)、今年・今月の目標を根拠とともに立て、振り返る(計画思考、メタ認知)

2025年3月29日土曜日

LAMJコース3月の学習内容(2025年)

 LAMJ-B


新年度に向けて、自分の気持ちと向き合う(気持ちのコンパス): ワクワクすること、心配なこと、知っておきたいこと、やっておくべきこと—この4つを方位磁石(コンパス)に見立て、新年度を迎える自分とじっくり向き合って考えてもらいました。心配するのは恥ずかしいことなんかじゃない、どうすれば心配が少なくなるか、考えれば道は拓ける。知りたいことはどうすれば知ることができる?今すぐできることは何? 全て、リアル問題解決です。今後みんなが何度も経験するであろう「新しい環境」は、しっかり考えて行動すれば道は必ず拓けるという感覚を手に入れてくれたかなと思います。
ご入学、ご進級、おめでとうございます!

 

東京大空襲、3.14、別学共学の「数字」の背後にあるもの:被害者の数、学校の数、賛成している人の数。このような数字はパーセントで表現されることも多いです。そして、データが溢れる現代、このような数字の背後にどれだけの人の人生があるのか、ふと忘れてしまうことがあります。だからこそ今月のLAMJでは東京大空襲、3.14、別学共学をテーマに、「数」の背後にある「人生」を一生懸命想像するということをやりました。3.14で亡くなった小学生が好きだった飲み物は?通っている高校が別学から共学に変わったらどんな気持ちになる? 他者のことを完全に理解することは不可能です。だから必死に想像する。その態度を持ち続けてほしいと思います。

 

今月扱ったテーマ:偉人の言葉の背景・根拠を考える(黒澤明、ロダン、葛飾北斎、マゼラン)、物価高でもアルバイト代を減らさない方法(クリエイティビティ、未来思考)、太平洋戦争の数字から考える(小学生のための現象学入門)、別学vs共学 (数字の背後にある「人」の気持ちを具体的に想像する)、北斎漫画の顔は何を表現しているか(感情の言語化)、気持ちのコンパス(新年度に向けて、言葉をしっかり使って自分と向き合う)
…………

LAMJ-A


思考実験+devil’s advocate付き合っている人がいるのにChatGPTのことが本気で好きになってしまったら、それは「浮気」?というオリジナル思考実験にチャレンジしてもらいました。思考実験はLAMJ生の大好物。これまでは講師がdevil’s advocate(悪魔の代弁者議論を発展させるためにあえて反論・ツッコミをする役)をつとめてきましたが、今回は生徒自身がこの役をやりながら議論を深めました。悪魔の代弁者をやる時は「なるほど。おもしろいね。ところで」から始めることを徹底しよう、論破は絶対ダメだよ、と老婆心満載で忠告したのですがそんな心配は不要だったようです。互いの意見を尊重しながら楽しそうにディスカッションする様子を見て、生徒たちがLAMJで手に入れたいちばん大きな力は議論力だと確信しました。

 

振り返り強化:LAMJは試験対策ではない、学びのための学びだからこそ「学んだことをどう自分の中で落とし込むか」が格別に大事。毎回の振り返りを強化しています。「今日学んだことから連想することは」「今日できたいちばんのこと、いつもできる?」など、LAMJならではの多様で楽しい振り返りを実践しています。

 

今月扱ったテーマ:カレーライス物価からカレーハウス経営を考える(クリエイティビティ、未来思考)、自分の意見に反論する(思考力強化)、2005年の若者になりきってYouTube最初の投稿にコメントしたら(情報とクリエイティビティをつなげる)、思考実験「付き合っている人がいる状態でAIに恋することは浮気か」(思考を深める)、devil’s advocate 悪魔の代弁者(議論力を高める)、自分の気になる記事の「10年後の見出し」を書いてみる(論理的に想像する)、吉本ばなな『みどりのゆび』の描写の型を見抜く(LA)、吉本ばなな流に「大切な場所」を振り返って描写する(LA

2025年3月3日月曜日

LAMJコース2月の学習内容(2025年)

LAMJ-B


「小1の自分へ」プロジェクト、堂々完成:この春小学校を卒業する生徒たちに「小1の自分へ」というプレゼンをやってもらいました。小1の自分ってどんなふうだった?当時の自分に何を伝えたい?プレゼンを聴いた小1の自分にどう感じてもらいたい? 昨夏の「プレゼンの達人」講座で学んだことをおさらいしつつ、1ヶ月かけて小学校生活を振り返ってコツコツ準備しました。そして迎えた本番。本当に、本当に、本当に感動的な内容でした。涙が出ました。「いい方向に行くから大丈夫」「今怒られてることも怒られなくなるから」「勉強はコツコツやろう」「悲しむより楽しんで」。プレゼンは自分の等身大の言葉を等身大の態度で心をこめて届けるもの。それをまさに実践してくれました。どんな先輩のどんなありがたい言葉よりも「小1の自分」にささったであろう言葉たち。特大の感動をありがとう。

 

振り返り強化:クラスの終わりに、その日学んだことを1つあげ、それを自分のどんな経験につなげられるか、答えてもらっています。つなげ方にも個性が出て毎回楽しいです。振り返りは学んだことを「生きた知識」にするだけでなく、論理力を磨くこともできます。

 

今月扱ったテーマ:偉人の言葉の背景・根拠を考える(パブロ・ピカソ、本田宗一郎、ベートーベン、ドストエフスキー)、キュビズムと遠近法(絵をじっくり観察して考える・つなげる)、受援力(メタ認知)、「面白い」と「おもしろい」の違い(ランゲージ・アーツ)、小1の自分にプレゼンする(プレゼンテーション・スキル、相手の立場に立って考える、目的から逆算して原稿を作る)、「私はUFOを見た」は事実か意見か(クリティカル・シンキング)



LAMJ-A


赤いぼうし問題の解き方をプレゼンする: 今月はプレゼン強化月間。数学者・野崎昭弘の傑作『赤いぼうし』の場合分け問題をどう解くか、解き方をどうプレゼンすればわからない人でも解けるようになるか—をグループで話し合い、プレゼンしてもらいました。自分とは違う立場の人の目線で考えるとはどういうことか。その人と自分の違いは何か。その違いはどこからどう埋めればいいのか。プレゼンは常に他者を相手にする作業。相手との「違い」はゼロになることはありません。だからこそヘトヘトに疲れるまで相手目線で考えて伝え方を模索する。相手目線へ近づこうとする皆の姿勢、素晴らしかったです。

 

とことん詩を読みこむ+撞着語法でイメージを作る:今月のランゲージ・アーツ(LA)で取り上げたのは猪狩翔一『Leo』の歌詞。意味がわかるようでわからない難物のこの作品をまずは散文に「翻訳」、その上で「丸い滑走路」という比喩の効果について考え、撞着語法 (矛盾するような言葉を組み合わせる、修辞法の一種)を学び、さらには撞着語を1つ選んでプレゼンするというところまでやりました。プレゼンは、まさに、百花繚乱。それぞれの個性が炸裂していました。「自分の好きな撞着語を軸にプレゼンする」という漠然としたテーマにもかかわらず、いえ、漠然としたテーマだったからこそ、自分ならではの世界を構築できたのかなと思います。皆のクリエイティブ思考力、自分の個性・視点を信じる力、伝える力にウットリします。

 

今月扱ったテーマ:新聞記事の文を「事実」と「意見」に分ける(クリティカル・シンキング、メディアリテラシー)、文系と理系(反論を通して思考を深める)、高校入試最前線(新しいタイプの入試を経験した生徒たちがプレゼンしてくれました!ありがとう!)、赤いぼうし問題(論理力、他者視点で考えてプレゼン)、新聞で得た情報を実生活に結びつける(学びの定着)、英語の弱強格vs日本語の高低音(英語を知ることで日本語の特性を知る)、猪狩翔一『Leo』を散文に翻訳(理解力・表現力)、撞着語法を軸にプレゼン(LA)、今井むつみ『学力喪失』の別解釈を考える(クリティカルに読む)

 

2025年2月1日土曜日

LAMJコース1月の学習内容(2025年)

 LAMJ-B


ボブ・ディランの声ってどんな声?:村上春樹はボブ・ディランの声を評して「まるで小さな子が窓に立って雨ふりをじっと見つめているような声」といいました。じゃあ、あなたはどんな言葉を使ってどう表現する?という問いかけから始まった2025年のLAMJ-Bクラス。LAMJが大事にしているのは、誰でも(AIでも)弾き出せる言葉ではなく「自分だけの」言葉と伝え方を見つけること。生徒たちは初めて聴くボブ・ディランの声に必死に耳を澄まして、一生懸命言語化してくれました。他にも「梅干しの味を『酸っぱい』以外で表現する」「歯磨きの味を何かにたとえる」などのワークをやりました。今年も、一人ひとりの言葉の意識と思考を磨いてまいります。

 

1人の人生を通して阪神・淡路大震災について考える: 阪神・淡路大震災から30年。当時5歳で被災した鈴木佑一さんに関する記事を読み、まず、心に残った言葉を5つ挙げてもらいました。そこからさらに「いちばん心に残ったことば」を選び、鈴木さんの印象を言語化し、鈴木さんの音声を聴いて印象はどう変わったかをさらに言語化。その上で鈴木さんへの質問を考えました。文章を主体的に読むとはどういうことか、質問とは何か。このようなワークを通して、生徒たちには肌で覚えていってほしいと思います。

 

今月扱ったテーマ:偉人の言葉の背景・根拠を考える(ニュートン、フランシス・ベーコン、ライト兄弟、夏目漱石)、ありきたりの表現ではなく「自分の言葉」で描写する(語彙力、ランゲージ・アーツ)、記事を主体的に読む(主体的に考える力)、いちばん聞きたい質問を考える(質問力)、なぜ日本は80年戦争をしないで済んだのか、多角的に考える(思考力)、漱石のいう「日本より頭の中のほうが広い」とは(比喩力)、お菓子メーカーの味の描写について考える



LAMJ-A


今年1年を漢字1文字で表すとしたら: 年末におなじみの「今年1年を漢字1文字で表す」を年始にやってみました。生徒たちが考えたのは、大、未、翔、翠、峠、得、張、臨、輝、克なぜその漢字にしたのか、という「こころ」の部分がこれまたふるっていました。皆が伝え合う姿は大喜利のようでもあり、お正月らしさも味わえたかと。保護者の皆様、ぜひご本人から「こころ」を聞いて差し上げてください。

 

角田光代の小説中小説のあらすじを考える:今月LAで扱ったのは、角田光代著『旅する本』。この作品に登場する架空の小説はいろいろなヒントこそ散りばめられているものの、どんなお話なのか読者にはわからない仕組みになっています。そこで皆でこの「架空小説」のお話を創作してもらいました。ヒントとして書かれていることを統合し、そこから帰納的に考えて創り出すという非常にクリエイティブな作業。この日の振り返りでは「難しかった」という声が多く、クリエイティブ思考の必要性を感じました。

 

今月扱ったテーマ:今年1年を漢字1文字で表す、夫婦別姓の議論の暗黙の前提を探る(クリティカル・シンキングのトレーニング)、トランスジェンダーを「地図」以外の何かに例える(トランスジェンダーを自分事として捉える、クリエイティブ思考)、角田光代『旅する本』に登場する架空小説の内容を創作する(読解力、クリエイティブ思考)、『旅する本』にちなんで古本屋に足を運んでその匂いを言葉にする(LA)、角田光代の技術を分析して自分たちの「匂い」の描写文に応用する(LA

2024年12月27日金曜日

LAMJコース12月の学習内容

LAMJ-B

いちばん守りたい伝統工芸は?:テキストとしている朝日中高生新聞に伝統工芸の記事が載っていたことから考えてもらったのが「あなたがいちばん守りたい伝統工芸は?」。生徒が選んできたのは群馬高崎だるま、越中福岡の菅笠。それを選んだ理由は何?なぜその理由になるの?外国の人に魅力を伝えるとしたらどんな動画を作る?特にどの国の人に見てほしい?など、いろいろな観点からディスカッションしました。理由をなるべくたくさん考える、理由の理由を考える、相手を意識して発信を準備する—どれも、今年度のLAMJ-Bで力を入れてきたことです。講師に何を訊かれても自分ならではの意見を堂々と発信できるようになりました。考える力を磨くことで自分の視点に自信を持てる。本当に、本当にすごいことです。

 

谷川俊太郎さんと「言葉」について考える: 先月亡くなられた詩人・谷川俊太郎さんの「言葉の意味は辞書を引けばわかる。でも、喧嘩したり、人を好きになったりした時に出てくる言葉はきっと、辞書では定義できない」(朝日中高生新聞より)についてディスカッションしました。すごく好きと思った時や怒った時に出てくる言葉にあなたはどんな意味・気持ちをこめていたのかな一人ひとり具体的に考え、説明してもらいました。そしてたどり着いた答えは「自分が喧嘩した時に使った言葉の意味は、辞書に全て書いてあるわけじゃない」。言葉の意味は文脈が決めるという大事なことを、理屈ではなく、生徒たちが自分事として自分の力で解き明かした瞬間。感動しました。

 

今月扱ったテーマ:偉人の言葉の背景・根拠を考える(マリー・キュリー、野口英世、ディオゲネス、ナイチンゲール)、外国人に日本の伝統工芸の魅力を動画で伝えるとしたら(相手を意識して「伝える」を意識する)、谷川俊太郎の「言葉」について考える(言葉とは何か、言葉の力と限界を考える)、クマは「有害」なのか(クマの気持ちになって昨今のクマ捕獲のニュースを考える)、森のクマさんの日記(クリエイティブ思考)



LAMJ-A


翻訳とは(谷川俊太郎さんを悼む): 今月は、先ごろ亡くなられた詩人・谷川俊太郎さんの詩をご本人の朗読で聴き、彼の言葉に対する態度に触れるところから始めました。翻訳も多く手がけた谷川さん。漫画『ピーナッツ』の原文と谷川訳を比較して「なぜ谷川さんは最終的にこの言葉・表現を選んだのか」をディスカッションし、「翻訳とは何か」を考えてもらいました。生徒たちの答えを一部抜粋します。「翻訳とは、自己表現」「訳した人によって訳し方が変わるので、その人の言葉の使い方とかちょっと極端に言うと、その人自体が現れるもの」「自分の言葉と原作者の直訳の2パターンで読者に自分の意見を持たせること」「正しく訳せるが、人の感情がこもりにくいもの」。生徒たちの言葉への意識の高まりは本当にすごいです。言葉を自分の味方にすること。世界のエリートたちが必死に模索していることです。

 

江國香織『南ヶ原団地A号棟』とAI小説を比較、AIの文章を「もっと江國風」に書き換える:今月後半のLA (Language Arts)では、a. 江國香織作『南ヶ原団地A号棟』と、b. ChatGPT (AI) が書いた「『南ヶ原団地A号棟』風小説」を比較しました。『南ヶ原団地A号棟』は3人の小学4年生が書いた作文という体裁になっているのですが、生徒たちには片方がA I小説だとは言わずにab両方を読んでもらい、どちらが好きか、同じ点と違う点は何か、ディスカッションしてもらいました。そして江國香織の構成・技術を分析、その分析内容に沿ってAIによる小説を「もっと江國香織風」に書き換え、「AIの小説と人間の小説の違いとは何か」を考えてもらいました。AI小説の方が「内容が頭にスッと入ってくる」という意見もあり、純然たる「情報伝達」であればAIの方がいいのかという問題も浮上。AIとどう共存するかは今世紀の最難題です。これからもLAMJだからこそできるディスカッションを通してAI問題に向き合い、新しい時代の生きる力としてもらうべく指導してまいります。

 

今月扱ったテーマ:闇バイトについて小6にスピーチをしたら(「話す」と「書く」の違いを意識する)、谷川俊太郎さんの『ピーナッツ』の漫画の翻訳に見る、翻訳とは何か(直訳と意訳の違い・翻訳とは何が大事か考える)、日本の伝統工芸(特に残したいものは何か、その魅力を誰に伝えたいか、どう伝えればいいか)、女人禁制から「男女平等」を考える(ジェンダー問題)、アンコンシャスバイアスは「良いものだ」と主張するとしたら(自分の意見に反論する)、AI小説とプロの作家による小説を比較・分析 (AIと言葉について考える)、プロの作家の技術に即してAI小説を書き換える (Language Arts)

2024年11月29日金曜日

LAMJコース11月の学習内容

LAMJ-B

 

偉人たちの名言の「根拠」: テキストとしている朝日中高生新聞に「10代に贈る 偉人の言葉」という連載コラムがあります。世に言う名言は、結論部分だけがひとり歩きして背景や根拠はごそっと抜け落ちていることも多いもの。そこで「この偉人の名言の『根拠』は何?」と偉人の気持ちになって根拠・背景を考えるというルーティーンを始めました。多様な視点を持つ力、論理力、想像力を鍛えます(偉人たちについて学べるという強烈なオマケ付き!)。今月はダリ、坂本龍馬、ゲーテになりきって考えました。

 

地動説・天動説再び:地動説が生まれた時代を描く『チ。』(作・魚豊)というマンガが朝日中高生新聞で紹介されていたことから、9月に学んだ天動説・地動説を別の切り口で考えました。「何事も相対的である」と言うのは簡単ですが、それを自分事として捉えるのは大人でも難しいです。生徒たちには、誰かの身長が「高い」などということが相対的な概念であることをわかってもらった上で、「『Aだ』と信じていたけどあるとき『いや、Aじゃないかも…』と思ったことってない?」と考えてもらいました。何をきっかけにものの見方は変わるのか。これからも考えていきたいです。

 

今月扱ったテーマ:事実をもとにお話を作る(クリエイティブ思考)、聴衆の特性を意識して1分スピーチ(プレゼンのスキル)、偉人の名言の根拠を考える(多様な視点、論理力、想像力)、緊張するのはどんな時?緊張は悪いこと?(メタ認知)、回転寿司を千円で応援するとしたら(未来思考、クリエイティブ思考)、天動説vs地動説から考える「見え方の変わる時」(比較する力、メタ認知)



 LAMJ-A

 

「あり得ない仕事」を「スバラシイ仕事」に:テキストとしている朝日中高生新聞で大学入試の特集が組まれていたことから、今月はまず「今どきの入試」について高3LAMJ生に話をしてもらいました(どうもありがとう!)。話は転じ世の中がこれだけのスピードで変わっているのに、入試も仕事のあり方も今まで通りでいいの?という問いを講師が投げかけました。生徒たちには「あり得ない仕事」を挙げてもらい、そのあり得ない仕事をどうすれば「スバラシイ仕事」に変えることができるか考えてもらいました。「世界中のおいしいものをいくらでも食べられる」というあり得ない仕事も、生徒たちの手にかかるとスバラシイ仕事に早変わり。「世界中の美味しいもののを食べたら全てレビューしなければならない。『特殊な食べ物』に各地の伝統食品を組み込めば、各地の食べ物の伝統が守るという仕事にできる」。あり得ない仕事を思いつくのも早かったですが、それをスバラシイ仕事に変えるのに費やした時間は10分足らず。「考える筋」がすばらしく鍛えられています。

 

暗黙の前提:LAMJでつく力の1つに「じっくり考える力」があります。ひとつのことを一方向で考えていても「じっくり考えた」とはいえません。じっくり考えるとは、さまざまな考え方を適宜組み合わせて深掘りをしていくこと。暗黙の前提はそんな「考え方」のひとつでもあり、かなりの論理力が問われるナンブツなのですが、生徒たちほどの思考力があればもうできるはず—と満を持して今月から指導を始めました。暗黙の前提を考えられれば、相手のことも、自分のことも、もっと理解できるようになります。

 

今月扱ったテーマ:高校3年生に大学入試のリアルを聞く、「あり得ない仕事」を「スバラシイ仕事」に(クリエイティブ思考)、暗黙の前提(考えの奥底には何があるのか、思考を深める)、音声学を使って椎名林檎の歌詞を分析(阻害音・共鳴音のもたらす効果、ランゲージ・アーツ)

 

LAMJコース5月の学習内容(2025年)

LAMJ-Prep 意見を言うこと、理由を意識すること、発表することにみんなどんどん慣れていく!と感動した 1 ヶ月でした。「このお菓子はどれだけの旅をして自分の家にやってきたのか」について皆で考えたり、「これからの時期、もしも台風が来たらこのクラス ( 対面実施 ) はどうする...