2025年12月5日金曜日

LAMJコース11月の学習内容(2025年)

 LAMJ-B

 

「働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります」をランゲージ・アーツで考える: 高市首相が就任時に放った、「働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります」という言葉の効果をディスカッション。「働いて」が3つだったらどうなる?6つだったら?「どんなに苦しくても働いてまいります」だったら意味や効果はどう変わる?と問いかけたところ、「3つの方が伝わりやすいかも」「6つだとしつこい」「『どんなに苦しくても』は応援したくなるけど、男性と女性で感じ方が違うかも」などの意見が出ました。

 

今週の私の一言:ランゲージ・アーツの基礎力を磨くため、今月から「今週の私の一言」というルーティーンを始めました。例えば「たい焼きは幸せになる」と思ったら、似て非なる表現「たい焼きは幸せを感じる/幸せを呼ぶ/幸せを運んでくる」などを挙げ、どの表現が自分の感覚をもっとも的確に表現できているかを理由と共に考えるというものです。言葉の力を磨くために、言葉を「主体的に選択する(すなわち自分の言葉に責任を持つ)」という態度を習慣化していきます。

 

今月扱ったテーマ:ワーク・ライフ・バランスなどの現代用語を小1に説明(理解力、表現力、相手を意識したコミュニケーション)、「働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります」と高市さんはなぜ言ったのか(ランゲージ・アーツ、国会議員の男女比を知る)、「今週の私の一言」(ランゲージ・アーツ基礎力)、自分の意見に反論してみる(クリティカル・シンキング)、朝日中高生新聞の記事の続きを書く(内容・読者・目的を踏まえた上で表現する)、今年の主要なニュースにふさわしい漢字・ふさわしくない漢字を考える(世界を知る、表現力)、クラスメートの「〇〇のような時間」について取材する(質問力)



LAMJ-A


理想の中学校の、理想の入試国語問題を、重松清の小説で作る:中学入試問題で長年引っ張りだこの、重松清さんの小説。サブテキストに重松氏の「おまじない」(3.11を扱ったもの)が載っていたことから、仮にLAMJの生徒たちが中学を作り、重松清の小説で入試問題を作ったら1ヶ月を費やして試験問題を作成してもらいました。どんな中学にしたい?どんな生徒に来てもらいたい?試験ではどんな力を測る?どんな試験なら生徒の力を測れる?小説のどの箇所を取り上げるべき?試験問題がおもしろくて何が悪い?この入試問題にした場合の最悪のシナリオは? 考えるポイントは山ほどありましたが、互いにアイデアを出し合って傾聴してまとめていく姿は圧巻。最後は作った問題を互いに解き合い、作成者に採点してもらい、合否発表も行いました。試験を作る人の苦労がわかったと生徒たちは言っていましたが、普段試験を作っている講師からすると、あのチームプレーがあればどんなことも乗り越えられますよ。見事な協力姿勢に乾杯。

 

生徒たちが考える、理想の中学校とは:理想の中学の「教育方針」「授業形態」「校則でいちばん大事にしたいこと」の意見がとてもおもしろかったので一部シェアさせてください。《教育方針》「『一つを極める』と『こうでありたい』をかけあわせる」「想像力豊かな大人に」《授業形態》「教科書はなく、先生が授業毎にプリントを用意する」「生徒が教師として他人に教えるし、自分は勉強するみたいな授業」《校則でいちばん大事にしたいこと》「仲間外れをつくらない」「整髪料は無香料のものにする(匂いは人によって感覚が違うから)」「やりたいこととやらなければいけないことの区別」

 

今月扱ったテーマ:理想の学校とは(議論力、クリエイティブ思考)、新聞記事の文章を「事実」と「意見」に分ける(クリティカル・シンキング)、「働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります」は効果的か(ランゲージ・アーツ)、自国第一主義と排外主義(世界を知る)、理想の入試国語問題を重松清著『おまじない』を使って作成・解答・採点(ランゲージ・アーツ、目的から逆算して考える力、クリエイティブ思考、国語力、相手を尊重して伝える)



LAMJ-P


同じ出来事を扱っているのにあのニュース番組とこのニュース番組とではどうして違うことを言うのだろう—今月はメディア・リテラシーの基礎を学ぶことから始めました。プレゼンテーションのトレーニングのウォーミングアップとして「伝える順序」にも注目。何をどんな順序で伝えると相手にとってわかりやすいか、1人ひとりしっかり考えてくれました。

2025年11月4日火曜日

LAMJコース10月の学習内容(2025年)

 LAMJ-B

議論のお作法、6 Thinking Hats:議論が得意になるためには考える力、伝える力、場数が欠かせませんが、議論の雛形を知っておくことも大事です。先月からグループ・ディスカッションを本格的に始めたLAMJ-Bでは議論の雛形のひとつとして 6 Thinking Hats というメソッドの指導を始めました。自分が言おうとしていることは事実なのか、意見なのか、気持ちなのか。もしもと仮定して考えを深めることで何が得られるのか。生徒たちはこのメソッドを使って「ウーブン・シティ」やノーベル賞について議論。実践力を様々な角度からつけています。

 意味がわからない言葉は絶対に使わない:テキストとして使っている新聞、宿題のために調べるネットや辞書には小中学生が知らない言葉がたくさん出てきます。「知らない言葉」を知らないまま使いたくなることもあります。でも「意味のわからない言葉を使うのは厳禁。辞書を引いて小1に意味を説明できるようになったらどんどん使えばいい。そうやってどんどん語彙を増やしてほしい」と話しました。名探偵コナンが言う通り「言葉は刃物なんだ」、理解しないまま使ってしまうと誰かを傷つけることになりかねない。LAMJは言葉を特別に大事にする場です。言葉の「裏の顔」も知っておいてほしいです。

 今月扱ったテーマ6 Thinking Hatsを知る・実践する(議論力、情報を分ける力、クリエイティブ思考)、新聞記事の各文を事実・意見に分ける(クリティカル・シンキング、メディア・リテラシー)、目的を言語化してから質問する(質問力、クリティカル・シンキング)、今秋の値上げについて多角的に考え、議論する(6 Thinking Hats)、「この秋も値上げが止まらない」「この秋も値上げが続く」の意味・効果の違いは何か(ランゲージ・アーツ)、手話の目的と効果を考える(手話の「言葉」性に注目する、ランゲージ・アーツ)

 

LAMJ-A 

ある中学生の留学体験記を「おもしろく」書き換える:テキストとしている朝日中高生新聞に載っていた留学体験記を取り上げ、皆で文章全体の構造を分析。日本で推奨される作文のほとんどは「起承転結」になっていてこの体験記も例外ではなかったのですが、起承転結はわかりやすい安心感がある反面、おもしろさに欠けるというマイナス面があります。そこで生徒たちはあえて起承転結をこわし、具体的なエピソードにズームインするなどして「おもしろい」文章に書き換えることにチャレンジ。今月は、起承転結とは何か、起承転結を壊して文章を書くとどんな効果が得られるのか、考え、実践しました。

 あさのあつこの文体・内容を借用して自分の夢について書いてみる:これまでLAMJのランゲージ・アーツでは、各作家の表現スタイルから美味しいところだけいただいて応用するというスタイルをとってきましたが、今月は趣向を変え、文庫1ページ分の文章を、構造・趣旨・文体などなるべく真似て自分の文脈(「夢」)について書いてみる、ということをやってみました。その後の振り返りには「自分はこれでいいんだと思っている自分がいることに気づいた」「いつも書いている書き方がこんなにも自分に影響しているんだと気づきいた」などとありました。普段と違う表現形態は自分を見つめ直すきっかけにもなるのですね。今月も皆に教わりました。

 今月扱ったテーマ:国家は他の国に「承認」されるべきものなのか(哲学思考、言葉を定義する)、ある中学生が書いた文章をおもしろく書き換える(ランゲージ・アーツ)、自分の意見に反論して気づいたことは何か(クリティカル・シンキング)、あさのあつこ「みどり色の記憶」の構成・セリフの分析(ランゲージ・アーツ)、あさのあつこ「みどり色の記憶」の文体・構造を借用して「自分の夢」について書く(ランゲージ・アーツ)


LP-2

先月に続き、多角的に話し合うための議論メソッド「6 thinking hats」のトレーニングを行いました。このクラスはこれまで対面のみで行ってきましたが、雪が積もったり熱が出たらオンラインでも参加できるといいよね、6 thinking hatsを使って試しに話し合ってみようかと実践したところ見事な話し合いとなり、納得のいく結論を出すことができました。みんなすごいです。自分の「考える」「伝える」を楽しむだけでなく、他の人の意見を好奇心を持って聴く態度を身につけていってくれればと思います。

2025年10月2日木曜日

LAMJコース9月の学習内容(2025年)

LAMJ-B

 事実と意見2.0:思考力の基礎でもあり、情報化社会を生き抜くための必須スキルである「事実と意見の線引き」。LAMJ-Bでは毎週必ず「〇〇について事実と意見を探す」ということをやっています。生徒たちの線引き力がどんどん上がってきたので、今月は「調査結果の数値をどんな言葉で表現すれば『事実』となり、どんな表現だと『意見』になるのか」を考えてもらいました。目の前にある「事実」にどこまで人間の解釈が入り込んでいるのか。ちょっとした言葉の違いで意味範疇はどれだけ変わるのか。皆、言葉への鋭い意識を持っています。

 

村竹ラシッド選手の「何が足りなかったんだろう」:ランゲージ・アーツ(LA)の基礎力をつけるために、さきの世界陸上で入賞した村竹ラシッド選手が試合後に泣きながら口にした「何が足りなかったんだろう」という言葉を取り上げました。「足りない」とはどういう概念か、「足りない」という言葉を使う背景に村竹選手にはどんな思いがあるのか。似て非なる表現と比較しながらディスカッションしました。

 

今月扱ったテーマ:偉人の言葉(フランツ・シューベルト、平塚らいてう、ウィリアム・バロウズ、グラハム・ベル)、事実と意見(クリティカル・シンキング)、質問は何のためにするのか(多様性理解)、村竹ラシッド選手の発言をランゲージ・アーツ的に分析(ランゲージ・アーツ、他者理解)、ウィリアム・バロウズの名言の翻訳をランゲージ・アーツで考える(ランゲージ・アーツ、言葉への意識)

 


 

LAMJ-A 

自分たちで問いを立ててみて気づけたこと:テキストとしている朝日中高生新聞に「そもそも国籍とは何だろう」という問う記事があったことから、これをテーマに議論をしてもらいました。「そもそも国籍とは何だろう」のような遠大なテーマに取り組むためには、小さな問いを立てて一歩一歩議論を進めていく必要があります。LAMJでの議論はこれまで、講師が「小さな問い」を与えて生徒たちがそれについて話し合うという流れで行ってきましたが、今月は初めて自分たちで問いを立ててもらいました。色々おもしろい問いが出たところで実際議論してみると「あること」に皆が気づき始めそれは「どんな議論も、まずは言葉の定義から始めなければいけない」ということ。これを教科書などで「教わる」ことと、経験を通して自分たちで「見つける」ことには大いなる違いがあります。

 

小池真理子の「登場人物から見た世界を描き切る」技術を分析・応用:サブテキストにしている小説集から、今月は小池真理子さんの『テンと月』を読み、彼女が得意とする「登場人物にはどう見えて・聞こえていたのか」を描写する技術を分析、ディスカッションしました。皆すっかりランゲージ・アーツに慣れ、目のつけどころも分析の勘所も冴え渡っています。最後は、分析して見えた技術を自分たちの文脈に応用して作文しました。

 

今月扱ったテーマ:効果的な見出し・写真とは(伝える技術)、オススメの防災グッズの記事と見出しを書く(読者の立場に立って作文する)、国籍とは何か(哲学思考のための問いを自分で立ててディスカッションする)、小池真理子『テンと月』の語彙・構成・テクニック分析(ランゲージ・アーツ)、小池真理子『テンと月』のテクニックを応用する(ランゲージ・アーツ)


LP-2

 今月からあらたに「LAMJ-Prep2 コミュニケーション能力プログラム」がスタート。LAMJ-Prep1で「考える」「伝える」の基礎を楽しく実践してきた生徒たちは中級レベルに進み、夏休みのブランクもなんのその、見事な「考える人」「伝える人」ぶりを披露してくれています。今月は「あるもの」をじっくり観察してその正体を推理したり、議論のメソッド「6 thinking hats」のトレーニングを始めました。皆、考えて伝えることが本当に楽しそうです。


2025年9月5日金曜日

LAMJコース8月の学習内容(2025年)

 8月期は通常クラスはお休みし、特別講座「社会のモヤモヤ解決キャンペーン 〜議論&発信のクリエイター体験〜」(対面)、「未来へ繋げる、それぞれのコロナ禍 〜100年後に託すメッセージ〜」(オンライン)を行いました。

対面講座ではさまざまなクリエイティブ思考にチャレンジ、モヤモヤを解決するためのキャンペーンCM(劇)を作成。オンライン講座では1人ひとりコロナ禍と向き合い、クリティカル・シンキングを駆使して100年後の人々へのビデオメッセージを作成しました。どちらの講座もたくさん考え、話し合い、普段は言葉にしないような思いも言葉にして吐き出し、他者の立場に立って見事に伝えたいことを積み上げてくれたと思います。みんな本当にがんばりました。お疲れさまでした。今年も感動をありがとう。
LAMJは9月からは通常クラスに戻ります。

2025年8月5日火曜日

LAMJコース7月の学習内容(2025年)

 

LAMJ-B

サラトイ力をつける:クラスメートの意見を聴いて自分にしかできない質問をするのはLAMJ生にとってもはや当たり前。でも質問は「一度したらそれでおしまい」ではないはずです。相手が渡してくれた答えを聴いているうちに知的好奇心がさらに湧いて尋ねたいことがさらに出てくることはままあります。そんな時にさらに問う力をLAMJでは「サラトイ(さら問い)力」と呼び、今月からトレーニングを始めました。サラトイ力はアクティブ・リスニング、考える力、伝える力はもちろん、議論力の大事なベースです。今のクラスでもっと議論を楽しめるように、素地をひたむきに磨いています。

 参院選を機に「政治」について考える:小中学生は選挙権がないから政治のことは知らなくてもいい?そんなことはもちろんありません。学校、通学路、毎日お世話になっている文房具、大好きな本、スポーツ、ゲーム全ては政治につながっています。遊ぶことは大好きで勉強は大キライな小学1年生を相手に「政治」を説明するとしたら? というところから始めて、「政治は自分に関係あると思う」「政治は自分に関係ないと思う」の両方の主張について理由をじっくり考えてもらいました。

 今月扱ったテーマ:偉人の言葉についてクリエイティブに考える(ガリレオ・ガリレイ、紫式部、織田信長、レオナルド・ダビンチ)、会ったこともない人の死を悼むことはできるのか(定義力、哲学思考)、スマホの作りを言葉だけで説明(描写力、聴衆を意識して伝える)、政治は自分に関係ある?ない(クリティカル・シンキング)、交通安全標語をランゲージ・アーツ的に分析する(ランゲージ・アーツ)

  

LAMJ-A

 あなたの理想のノートは?描写のココロに気をつけて:テキストとしている朝日中高生新聞に「ノート」に関する記事があったことから、各自、理想のノートを描写してもらいました。描写は、構成と言葉選びと具体性がキモですが、毎週「言葉」「思考」「伝える」のトレーニングを重ねているLAMJの生徒たちはやはり描写がめちゃくちゃ上手いです。「客観」に終始しがちな描写においても、個性をしっかり表現できるようになりました。以下、そんな彼らの「理想のノート」を一部ご紹介。「紙がほおずりしたいくらいツルツルで、開いた時に平になるので、ページを跨いで書き込んでもストレスを感じない」「油性ボールペンが裏写りしない新聞紙2枚くらいの厚み」「最初はノートの角が鋭利でカクっとしていたのに3日もすれば折れ曲がっていてイライラする」

 シャンプーの広告&コピーを徹底分析:「家族と愛」をテーマとしたシャンプーの広告シリーズから好きなものを選び、ランゲージ・アーツ的に徹底分析、最終的には自分たちでコピーを作ってもらいました。同じような意味範疇でも言葉の選択が変われば効果はゴロッと変わること、誰に見て・読んでほしいのか、どう感じてほしいのか、を探れば作者の創作過程を追体験できて、自分の表現に応用できること。そんなランゲージ・アーツの醍醐味の部分を生徒たちはしっかり理解・実践できるようになってきました。LAMJ生の1人がかつて言ってくれた「ランゲージ・アーツとは、自分の言葉を創っていく教育」を絶賛実践中です。

 今月扱ったテーマ:「無知」「知るべきこと」「知らなくていいこと」について考える(哲学思考)、理想のノートを描写する(描写力、発想力)、日本語の修辞法(ランゲージ・アーツ)ONE OK ROCKの英語の歌詞をクールな日本語の歌詞に書き換える(ランゲージ・アーツ)、学校に足りない「学びの環境」とは何か(クリエイティブ・シンキング)、シャンプーの広告分析・コピー制作(ランゲージ・アーツ)

2025年7月5日土曜日

LAMJコース6月の学習内容(2025年)

LAMJ-Prep 1 


今年2月にスタートした「LAMJ-Prep1 コミュニケーション能力プログラム」の皆(小2-4) が堂々修了!「考える」「伝える」をこんなに愛してくれるんだと感動し続けた10回でした。最終回のプレゼンテーションのテーマは「ぼく・わたしが探してきた『事実』と『意見』」と「情報を事実と意見に分けることはなぜ大事か、自分の考えを述べる」。これまで学んだことの集大成、「伝えたい」という気持ちが痛いほど伝わってくるプレゼン、見事でした。「事実と意見を分けることはなぜ大事か」への答えが格別に素晴らしかったので以下紹介させてください。事実と意見の違いがわかれば、「自分の頭で考えられる」「話し合いができる」「これからも、将来の仕事にも活かせる」「誰かから噂を聞いても、自分の目でたしかめればいいとわかる」「お互い自分の意見をはっきり言ってもケンカにならない...それってこのクラスみたいだと思いました」。世界中の大人に届けたい言葉たちです。
*LAMJ-Prepは「1(初級)」修了後は「2(中級)」クラスへと進みます。


LAMJ-B


プレゼンテーションの「つかみ」:先月より「伝える」ことを1つひとつ丁寧にトレーニングしています。相手が言ったことを必ず確認してから自分にしかできない質問するのもそのひとつですが、今月特に力を入れたのは「あなたのプレゼンの語り出し、本当にそれでいいの?」です。プレゼンは相手がいてくれるからできること。だから相手の立場に立って「何を最初に言われたら「この話をもっと聴きたい」と思うだろう、と必死に考える。そんなことを色々なテーマで考えてもらいました。相手を意識して言葉を使うという感覚が磨かれています。皆の「伝える力」はさらにもっと伸びますよ!

 

気になった記事について、いざプレゼン: テキストとしている朝日中高生新聞から毎号、「記事を1つ選んでそのことについてプレゼンするとしたら」とシミュレーションしてきた生徒たち。今月はその大団円として本当にプレゼンしてもらいました。オンライン・プレゼンだからこそ注意すべきことは何か、できることは何か。1人ひとりの個性がしっかり感じられる、とても良いプレゼンでした。プレゼンはこれからもどんどんやっていこうと思います。

 

今月扱ったテーマ:偉人の言葉についてクリエイティブに考える(荒俣宏、チャップリン)、新聞記事を1つ選んでプレゼンするとしたら(目的と聴衆を意識し、それを言語化する)、自分にしかできない質問をする(質問力)、三上智恵さんによる沖縄戦にまつわる文章を読み、意見を持つ+質問し合う(過去を知る、自分事として考える)、自分の視点に自信を持つ(クリティカル・シンキング)




LAMJ-A


沖縄戦について考える1ヶ月LAMJ-Aのクラスには沖縄在住の生徒がいます。その生徒が沖縄戦の話をプレゼンテーションしたいと言ってくれたことから、戦後80年、沖縄慰霊の日を迎える今月、LAMJでは沖縄戦についてさまざまなことを考え、調べ、感じ、伝え合いました。まずは夏目漱石の「個人」の定義に端を発して「第二次世界大戦中、日本に住んでいた人たちは『自分』をどう定義しただろうか」と話し合い、翌週は沖縄の環境問題を自分事として捉え、またその次の週はジャーナリスト・三上智恵さんの沖縄戦に関する文章をランゲージ・アーツの手法で分析し、沖縄出身の映画監督・奥間勝也の問いから「悼む」とは何かをディスカッション。その上で沖縄在住の生徒が沖縄戦についてプレゼンテーションし、皆でたくさんのことを話し合いました。講師も含め、互いが伝え合い、考え、学び合える素晴らしい1ヶ月になったと思います。みんなのおかげです、本当にありがとう。

 

生徒が語る、「見えない沖縄戦」沖縄在住の生徒のプレゼンテーションのタイトルは「見えない沖縄戦」。平和教育が盛んな沖縄本島でも滅多に語られない、主に八重山地方で起きたマラリア被害の話でした。生徒が教えてくれたのは、19456月に沖縄の人々は八重山地方へ疎開が命じられたこと、疎開先でマラリアが大流行し、いちばん被害の大きかった波照間島では島民1590人のうち1587人が感染、うち550人が死亡したこと、しかしその方たちのお名前は、沖縄戦で亡くなられた方たちの氏名が刻まれている「平和の礎」(沖縄県糸満市)にはないこと。沖縄戦についてメディアや学校で語られるのは「戦い」に直接関係する話で、沖縄をめぐる情報・イメージが偏ったものであること、偏っていることに気づけていないことを痛感しました。生徒は「内地の人には、沖縄本島の人ですら知らないことをもっと知って、理解してほしい。そして気にかけてくれればいい」とプレゼンテーション後に話していました。話してくれて本当にありがとう。私たちはどうすれば「理解」できるのか、「知る」とは何か。LAMJの今後の課題となりました。

 

今月扱ったテーマ:夏目漱石の「個人」の定義に賛成?反対?(クリティカル・シンキング)、原始時代と第二次世界大戦中の「自分」の意味を考える(定義力)、沖縄の環境問題を自分事として考える(クリエイティブ思考)、ジャーナリスト・三上智恵さんの石破総理への手紙を読む(ランゲージ・アーツ)、「悼む」を哲学の枠組みで議論する(議論力、言葉を定義する力)、沖縄戦について考える

2025年5月24日土曜日

LAMJコース5月の学習内容(2025年)

LAMJ-Prep


意見を言うこと、理由を意識すること、発表することにみんなどんどん慣れていく!と感動した1ヶ月でした。「このお菓子はどれだけの旅をして自分の家にやってきたのか」について皆で考えたり、「これからの時期、もしも台風が来たらこのクラス(対面実施)はどうする?」とリアルに話し合いもしました。意見に正解も不正解もないことを肌で感じてくれている様子が頼もしい!事実を確認してから意見を言うことの大切さをじわじわと感じ取っていってほしいです。


LAMJ-B

自分にしかできない質問をする:先月から始めた「アクティブ・リスニング+質問」のセッションにもあっという間に慣れた生徒たち。相手の発言を認めながら質問する姿は本当にかっこいいです。じゃあもっとハードルを上げよう、ということで「自分にしかできない質問をする」ことを始めました。質問は、先生にしなさいと言われたからするものじゃない。質問は意見と同じで、自分だから考えられること、聞きたいと思うことを必死に探すんだよ、なぜその質問をしたいのか理由も考えてね、と話したところ質問セッションが明らかに上の次元へと上がりました。皆のおもしろい質問を一部ご紹介しますね。「あなたが倭寇だったら何を盗みたいですか(なぜこの質問をしたいかというと、私が海賊だったら色んなものを盗みたいと思うので)」「自分の学校の良いところを言える限り教えてもらえますか(なぜこの質問をしたいかというと、自分の学校についても考えてみたくなったし、相手の学校がどれくらい良いところなのか知りたかったから)」。ブラボー!

 

プレゼンテーションの基本を徹底的にモノにする:プレゼンの基本、それは「何を伝えたいか」「相手は誰か」「相手にどうなってほしいか」を言語化すること。クラスではまず、なぜ「基本」なのかを考えてもらった上で、この基本が皆の「当たり前」となるよう、実践方式でトレーニングを重ねています。来月は、この基本を踏まえた上で、どうコンテンツを磨くか、にフォーカスを当てて実際にプレゼンをしてもらう予定です。テーマはもちろん、各自じっくり選んで決めてもらいます。

 

今月扱ったテーマ:偉人の言葉の背景・根拠を考える(川端康成、ニール・アームストロング、大久保利通、手塚治虫)、マグリットの絵のタイトルの法則を見抜き、実際にタイトルをつけてみる(構造を見抜く力、クリエイティブ思考)、プレゼンの基礎のカラクリを理解する(プレゼン力)、新聞記事を1つ選んでプレゼンするとしたら(目的と聴衆を意識・言語化する)、自分にしかできない質問をする(質問力)


LAMJ-A

報道写真家・石川文洋さんのベトナム戦争の写真は事実か、意見か:テキストとしている朝日中高生新聞にベトナム戦争の特集があり、報道写真家・石川文洋さんのインタビュー記事が載っていました。クラスでは石川さんのベトナム戦争の写真を数枚取り上げ、この写真を「事実」と言えるとしたら証拠は何か、「意見」と言えるとしたらそれはなぜか、をディスカッション。さらに、この議論は世界の出来事にどうつながるのかを考えてもらいました。弁証法的思考をトレーニングしつつ、観察眼を磨いています。
 
「投票に行かない人は選挙権を譲るべきか」を哲学のフレームワークで話し合うLAMJ-Aではほぼ毎回、朝日中高生新聞の記事を起点として議論を行うのですが、今月は新しい試みとして哲学のフレームワークに則って議論するということをやりました。哲学では「言葉の定義」は非常に大事ですが、皆の「投票に行かない人」「選挙権」「譲る」の定義をめぐる議論の素晴らしさといったら!言葉の定義や背景だけでなく、「こう定義するとこんなことが想定できるけど、それでいいのかな」というところまで議論は及び、「議題は『譲るべき』ではなく『譲ってもいい』とした方がいいのでは」「日本を変えるということはとても大変なものなんだなと思った」などの感想も聞くことができました。二週にわたって話し合ってとりあえずの答えを出したところで、議論をさらにレベル上げするために「新たに問いを立てる」ことも行った生徒たち。もはや議論の達人です。

 

今月扱ったテーマ:報道写真家・石川文洋さんのベトナム戦争の写真は事実か、意見か(クリティカル・シンキング、歴史・世界・報道写真について考える)、「投票に行かない人は選挙権を譲るべきか」を哲学のフレームワークで話し合う(議論力、言葉を定義する力、論理力)、クラスメートの意見に対して「悪魔の代弁者」を演じる(思考力、伝える力)、自分の意見に反論+気づきを得る(クリティカル・シンキング)、山内マリコ『ああ幻の東京五輪 世田谷区』の一節を自分流に書き換える(ランゲージ・アーツ)、自分の住む自治体に「キャラ」を与えて宣伝文を作る(ランゲージ・アーツ、プレゼンテーション)

LAMJコース11月の学習内容(2025年)

  LAMJ-B   「働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります」をランゲージ・アーツで考える : 高市首相が就任時に放った、「働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります」という言葉の効果をディスカッション。「働いて」が 3 つだったらどうなる? 6 つだったら?「...