LAMJ-Basic
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従来の「国語」では手に入れることのできなかった「日本語を使う技術」を学ぶ場がLAMJ = Language Arts of My Japaneseコースです。思考する力、伝える力、物事を理解する力、自己理解、他者理解を総合的に身につけるレッスンは唯一無二のもの。 このブログでは、毎月のレッスン内容をご紹介します。 MEL School は一人ひとりの能力を伸ばし、成長するための「スローエデュケーション=学育(ガクイク)」を推進。AI時代に必要な有機的な学習で未来に希望をつなげます。 一人ひとりが学び・育つ「スローエデュケーション=学育(ガクイク)」レポート@LAMJコース
パパッと考えるvsじっくり考えるトレーニング:LAMJ-Bの生徒たちの中にはパパッと考えて答えを出すことが得意な人もいれば、じっくり考えることが得意な人もいます。それぞれの得意なことはさらに伸ばしながら、そこまで得意じゃないかもしれない「じっくり(あるいはパパッと)考える」を得意にするためのトレーニングを始めました。このトレーニングはノーベル賞学者の故ダニエル・カーネマンの理論とハーバード大の「考える力教育プロジェクト」を応用したものです。「じっくり」には色々な種類があります。たとえば理由をたくさん考える、理由を深掘りする、他の立場で考えるなど。今月は「理由をたくさん考える」に重点を置きました。
記事を読んで、ビフォー&アフター:テキストとしている朝日中高生新聞から子どもの権利の記事を取り上げ、①子どもの権利と聞いてまず何を思った?→②記事をじっくり読む→③読んでみて、子どもの権利に対する考えは変わった?という流れで考えてもらいました。新しい情報・学びを得て自分はどう成長したのか、振り返りを習慣化していきます。
パレスチナとイスラエルのことを小学生目線で考える:朝日中高生新聞にパレスチナとイスラエルの特集が載っていたことから調べ学習をし、記事を読んだ上で「この記事のキーワードを1つだけ選ぶとしたら?」と問いかけました。生徒たちが選んだのは「アイデンティティー」と「資格」。なぜそのキーワードを選んだのか、理由は「記事を読んだときに一番苦戦した言葉だったから」「理由が思いつきやすそうな言葉だったから」など。大人目線で考えると「パレスチナとイスラエルからかけ離れているじゃないか」というお声も聞こえてきそうです。でも、自分目線で考える、小学生目線で考えるとはまずこういうことだと思います。誰かの受け売りでも聞こえの良さそうな理由でもなく、自分の中から正直に生まれてくる言葉たち。その言葉たちにちゃんと耳を傾けることから全ては始まります。
ローザ・パークス、1955年のアメリカ、現代の日本:テキストとしている朝日中高生新聞にレイシャル・プロファイリングの記事が載っていたことから、今月は黒人の権利活動家のローザ・パークスと、米・アラバマ州でかつて起きたモンゴメリー・バス・ボイコット事件を取り上げました。70年近く前にそんなひどいことがあったのか…と向こう岸の火事を眺める。なんてことはLAMJではやりません。人種差別が濃厚だった1955年のアメリカと2024年の日本との共通項は何か、小6〜高3の生徒たちがディスカッションしました。
モンゴメリー・バス・ボイコット事件を、淡い恋心のおばあちゃんに伝える: 若い頃、日本に少しだけ住んでいたアラバマ出身の白人男性「ボブ」のことを密かに思慕していた、現在90歳の日本のおばあちゃん(仮の設定です)。そんなおばあちゃんにモンゴメリー・バス・ボイコット事件について伝えるとしたら…? という宿題への皆の答え方がすごかったです。「おばあちゃんがボブを素敵だと思うのは否定しないんだけど、モンゴメリー・バス・ボイコット事件っていう事件が昔あって、それを知ってほしいから…」と語り出す生徒、「おばあちゃんあのね、おばあちゃんは嬉しくないかもしれないけどね」で始める生徒、白人との思い出があるなら黒人vs白人ということを言わなくてもいい、知らせなくていいと思った、という生徒、ボブと「白人」全体をなるべく離すようにしたと話す生徒…相手のことをしっかり考えて尊重して伝える姿に涙が出ました。伝える力がますます伸びています。
文学賞受賞の小説の「読ませる」秘密を解き明かして応用:今月後半のLA(Language Arts—分析と議論を重ねることで辿り着ける言葉の技術のこと)では中島京子作『妻が椎茸だったころ』(泉鏡花文学賞)の前半を精読、分析しました。冒頭の1段落が「読ませる」のはなぜか、話し合ってもらったところ、「1文目—比較的短い文による事実、2文目—比較的長い文による記憶、3文目—比較的短い文による事実、4文目—比較的長い文による記憶」というサイクルになっているのでは、という意見が...素晴らしい着眼点と分析力です。このサイクルを使って自分たちの文章を書き換えてもらったところ、リズムとメリハリのある、なんともユニークな文章が誕生しました。自分の視点を信じて分析・意見できる力に圧倒されます。皆どんどん力を伸ばしますし、話し合うことで何かを創り出す喜びを感じてくれているのだと思います。
Show & Tell(見せてお話し):LAMJ-B、今月の一大のプロジェクトは「Show & Tell(見せてお話し)」でした。Show & Tellはアメリカの小学校などではお馴染みの、自分のお気に入りを持参してそのモノに対する想いを大いに語るプレゼンテーション。何を見せたいのか、聴衆は何を聞きたいと思うのか、なぜそれがお気に入りなのか、いちばんの思い出をセリフ入りで語るとしたら—大注目の「ストーリー・テリング」の手法もまじえ、丁寧に準備を重ねました。そして迎えた発表当日。本当に素晴らしい発表でした。一人ひとりの個性がしっかりと伝わってくる、その人にしかできない語りに心が震えました。準備もしっかりやって、オンラインならではのアイコンタクトにも挑戦して。本当に素敵でした。お疲れさまでした。
「 」の効能:Show & Tellをするにあたり、人の「セリフ」に注目しました。テキストとしている朝日中高生新聞には毎回たくさんの「 」(カギカッコ)が登場しますが、「 」がついている=誰かのセリフ とは限りません。「 」の役割とは?人が言ったことじゃないのになぜ「 」がついてるの?ディスカッションしました。
難しい言葉を小1に説明:朝日中高生新聞に毎回登場する難しい言葉たち。主体的に読んでもらうため、そして語彙を増やしてもらうために、難しい言葉は「小1に説明して」といつも言っています。今月は小6の生徒たちに「肩書」「表舞台で持ち上げられる」「難民」などを説明してもらいました。辞書は良いものをしっかり引くこと、文脈をしっかり理解してこそ言葉の意味が決まることをだんだん理解できるようになってきました。
インクルーシブとは、「普通」とは:テキストとしている朝日中高生新聞にインクルーシブの特集があったことを受け、今月の前半はインクルーシブと「普通」について様々な角度からディスカッションしました。「インクルーシブを小1に説明するとしたら」という問いに始まり、障がいがある人を「普通」に寄せることの是非、「普通」の定義、ネルソン・マンデラが謳った「虹の国」と「インクルーシブな国」は同じなのか違うのか—たくさんのディスカッションを経てインクルーシブの意義を深掘りしました。
詩を好きになる:今月後半のLA(Language Arts—分析と議論を重ねることで辿り着ける言葉の技術のこと)では米津玄師の『灰色と青』の歌詞を取り上げました。詩を普通の文に書き直してみる、わかるわからないは別にして気になる表現を探してみる、登場人物の年齢を探偵よろしく推理してみる、詩に使われている言葉を他の言葉に置き換えてみる—色々チャレンジしました。詩が苦手という人は多いです。チャレンジと話し合いを通して、詩は「わかる」以前にそれぞれの感覚と根拠で「味わう」もの、と気づいてくれたでしょうか。
米津玄師の言葉の技術を盗む:『灰色と青』の歌詞には実におもしろい表現がたくさんあります。生徒たちは毎月提出する「LAノート」に気になった表現をリストアップし、なぜその表現が好きなのか、他の言葉に変換すると印象はどう変わるのか、それぞれの言葉の音の響きはどうか…考え、実践しました。日本の「国語」では言葉の意味を云々することがもっぱらで、一つひとつの言葉が持つ「音」「風合い」に注意を向けることは稀です。どの文化の言葉もまずは「話す」「聞く」から生まれました。意味だけでなく「響き」を意識することには大きな意義があります。今後生徒たちが学校などで書く作文には米津節だけでなく、これまでLAで扱った赤川次郎・江國香織両氏の、響きの効果も考えた「プロの言葉の技術」が煌めくことになると思います。
LAMJ-Basic 「なんで」の「なんで」 :考える力の基本中の基本は「なんで」です。たとえば、本を読んで A という感想を持つ。なんでそう思ったか、理由 B を言葉にする。じゃあ、なんで B という理由を持ったの?背景は?きっかけは?その思いはどんなどこから来ているの...