2024年9月29日日曜日

LAMJコース9月の学習内容

 LAMJ-Basic

 

「なんで」の「なんで」:考える力の基本中の基本は「なんで」です。たとえば、本を読んでAという感想を持つ。なんでそう思ったか、理由Bを言葉にする。じゃあ、なんでBという理由を持ったの?背景は?きっかけは?その思いはどんなどこから来ているの?—この一連の思考をLAMJ-Bでは「『なんで』の『なんで』(理由の理由)」と呼んでトレーニングしています。「『なんで』の『なんで』」はなんで素晴らしいかというと、その人のことがもっとわかるからです。「『なんで』の『なんで』」は考えることに慣れていない人には難しく感じます。自分と向き合い、深いところにある理由を言葉としてひねり出してこなければなりませんから。でも生徒たちはさすが!短い時間でも理由の理由をしっかり言葉にして伝えてくれます。最近、意見をシェアするときになんとも素敵な笑顔を見せてくれるようになりました。考えることを楽しんでいる様子。頼もしいです。
 
「それで」の「それで」: テキストとしている朝日中高生新聞に、ある中学の野球部が廃部の危機を乗り越えた話が載っていました。そこから「このAという中学には実は良きライバル校Bがあって(というのは講師の作り話)、B校の生徒たちはA校の野球部員をもっと増やすために協力したいと思っています。あなたがB校の生徒なら、何をする?」というお題を出しました。生徒たちが出してきた答えで秀逸だったのは「A校の町にたくさんの人に住んでもらうたとえば1万人とか」「B校の生徒でA校の野球部に入りたい人は、A校に転校してもらう」。このように考えるときに大事なのは「そんなことできるわけない」と決めつけないこと。そうやって自由に考えた上で「じゃあ、実際にやったら何が起きる?」と現実的に考えていく。ワイルドに、しかし現実的に未来を思考することを今後もどんどんやっていきたいと思います。

 

今月扱ったテーマ:コンテンポラリー・ダンスを見て考える(観察し、意見を持ち、発展させる)、チャドの出生率(問題の原因を考える)、イスラム教と天文学(知識の点と点を結んで線にする)、ライバルにがんばってもらうために自分ができることは?(未来思考、問題解決思考)


LAMJ-Advanced

 

リアルvsリアリズム:今月後半のLALanguage Arts、つまり「分析と議論を重ねることで辿り着ける言葉の技・スキル」)は前月に引き続き、中島京子作『妻が椎茸だったころ』(泉鏡花文学賞)を分析しました。この作品の魅力のひとつは、登場人物たちのキャラが炸裂する「リアル」なセリフ。しかし「本当にリアル」なセリフと、「リアルに思える」セリフとは違います。生徒たちはまず自分の家族のおしゃべりを分析、誰かが実際言ったことを素直に文字起こししても「リアルなセリフ」にはならないことに気づきました。読み手に「リアルだなあ」と思わせるセリフ—リアリズムなセリフ—はどんな工夫をしているのか?というディスカッションでは「他の登場人物に向けて言っているように見せかけて、実は読者に向かってメッセージを発している」「『ごめんなさい、あとで電話します』と言わせることで、この2人は普段電話でやり取りしているんだと読者にわからせる」「『お』教室、ということで、この小説のキーワードである『教室』を強調したかったのでは」など、実に鋭い指摘が出ました。そして実際に「リアリズムのセリフ」を書いてもらいました。
 
宿題とは何か: LAMJで毎週宿題を出す理由は「クラスの皆と議論するために必要な準備だから」「『宿題=約束』という捉え方を通して相手を尊重することを学んでほしいから」。これらの理由の根底には、学ぶということは「先生」「生徒」という上下関係ではなく、対等な人間同士だからこそ成り立つ、という確固たる信念があります。約束は破るためにあるんじゃない、議論するためには知識を得るなどそれなりの準備が必要である。そんなことも肌感覚でわかっていってもらいたいです。

 

今月扱ったテーマ:コンテンポラリー・ダンスを見て考える(観察し、意見を持ち、発展させる)、日本の少子化問題(様々な視点から考える)、登場人物をセリフから分析 (文章を科学的に分析する)、「リアルな肉声」と思わせるための表現スキル(ランゲージ・アーツ実践)

LAMJコース9月の学習内容

  LAMJ-Basic   「なんで」の「なんで」 :考える力の基本中の基本は「なんで」です。たとえば、本を読んで A という感想を持つ。なんでそう思ったか、理由 B を言葉にする。じゃあ、なんで B という理由を持ったの?背景は?きっかけは?その思いはどんなどこから来ているの...